ドラゴン・ノスタルジア
「だからおれは、ここに入れられてる」





 …………寂しい場所。






「誰とも、一緒にいなくてすむように」





 …………人ひとり分くらいしか、身動きが出来ない場所。





 狭くて、家具さえなくて、むせ返る様な、木の香りしかしない。






「誰とも、話さなくてすむように」





 どこを見ながら、喋っているの?





「…ここには、どのくらい一人でいるの…?」





 虚ろな目をして、私と目を合わせようとさえしない。





「1回せきをしたら、罰として10日」






 …………!







「おれが何か文句や泣き言を言ったら、罰として20日」







 …………それではまるで、虐待か拷問だ。








「大地のお父さんとお母さんは…………?」










「いちども会ったことない。神さまたちよりも、タチバがよわいからだって」








 …………!












「おれなんか、……死んじゃった方がいいんじゃないか……?」









「…………何言ってるの」





 神様。





 私、はじめて願いを伝えます。







「…………あなたは死んだりしないよ。大地」







 この子を、今すぐ





 この恐ろしい場所から、救ってください。






 



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