王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました

教会へと入ると、親族と来賓が椅子に並んでいた。中に、ルイス男爵の姿も見える。遠くから顔を見せに来てくれたことに感謝して、ロザリーは笑いかけた。

そして正面には、夫となるアイザックがいる。
少し照れたように頬を染めて、ロザリーが近づいてくるのを今か今かと待っている。
一緒に歩くイートン伯爵が、近づくにつれ足幅を狭めたため、姿は見えているのになかなか手の届くところまで行かない。徐々にアイザックの笑顔が引きつってきて、ロザリーは笑いたくなってしまった。

「緊張はほぐれたかな。レディ?」

小声でイートン伯爵から耳打ちされ、そのままザックへと引き渡される。
散々待ったザックは、ロザリーの手を握ると「やっと来た」と息を吐く。

「お待たせしました」

「本当だよ。俺はだいぶ待った」

「へ……んんっ?」

神父が話を進める前に、ザックは勢いでロザリーの唇を奪っていた。

「ん―! んっ!」

「幸せにする。神に誓う前に君に誓う。一生、大切にするからついてきてほしい」

それは人前でやらないでください。
そう思わないこともなかったが、それを無頓着にやれてしまうのがアイザックという人だ。
ロザリーは顔を真っ赤にしたまま、「はい!」と元気よく答えた。

「あの……、まず神に誓いましょう。いいですか? アイザック王子」

困り切った神父の言葉に、会場がどっと沸いた。

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