恋を知らない花~初恋~
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そうやって何となく過ごしてても季節がかわるのは速かった。

ちらほらと葉っぱが赤や黄色に色づいてきた頃の大安の日曜日に夏樹の結婚式が行われた。
夏樹はチャペルでウエディングドレスというイメージだったが、白無垢で神前式だった。
式場の神社は紅葉がキレイな広い庭があり、披露宴会場はその庭にも出ることができるよう隣接されてあった。
夏樹はそこであまりかしこまらない立食パーティー風の披露宴を挙げた。

神社式は友人も参列して良いとのことだったけど親族だけでも人数が多く、私たちは控え室で白無垢の夏樹を見せてもらい参列は遠慮した。
可愛い顔立ちの夏樹は白無垢も可愛いく着こなしていた。

「キレイね~!私も白無垢着ておけばよかった。」

と真由美がうっとりと夏樹に見とれていた。

「真由美の真っ白なドレスもキレイだったじゃない!」

と美希が隣から言っている。
やはり4人揃うと途端に賑やかになる。今日は結婚式だから尚更だ。

その時、新郎であろう紋付き羽織袴を着た男性が入ってきた。

「あっ!琢磨!来て来て、やっと紹介出来る!大学からの友達の真由美に、美希に、結衣よ。」

夏樹は私たちを紹介し、私は会釈をし改めて新郎の顔を見て固まってしまった。
新郎も私の顔を見た途端に青ざめていた。

「えっ?あっ、あの…」

真中さんの友達で同僚の岩崎さんだった。
岩崎さんは何か挨拶しないとと思っているのだろうが口をパクパクとし、声が出てるだけだった。
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