恋を知らない花~初恋~
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庭に出てみると風が冷たくひんやりとしていた。

「すみません、せっかくのきれいな紅葉を俺なんかと…」

「えっ?そんな…逆ですよ。私なんかといるよりも同僚の島内さんたちとのほうが楽しかったでしょ?」

「いえ、それはないです。」

きっぱりと真顔で否定する真中さんを見て思わず笑ってしまった。

「やっと笑った。さっきから表情が暗かったので…やっぱり岩崎を見るといい気はしませんよね。俺に対しても…」

さっきから体験したことのないネガティブ思考に捕らわれて真中さんへの気遣いや笑顔を忘れていた…

「すみません、全然違うことで考え込んでしまっていたんですよ。岩崎さんとのことは大丈夫です。夏樹からはうんと岩崎さんの良さについて聞かされましたから。フフッ夏樹があそこまで言うんだから悪い人ではないのはわかります。あの時だってきっと真中さんのことを思ってあぁいうことをしてしまったんだと思いますし。」

「俺のためなら尚更あんな事してほしくなかったです。本当に怖い思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。」

真中さんは深々と私に頭を下げる。
そんな彼を見て胸が締め付けられ、また言いようのない感情が込み上げ涙が出そうになった。
私は真中さんの肩を押し上げる。

「本当にもう大丈夫ですし、謝らないで下さい。もう終わり。この話はもう今日ここで終わりにしましょう。元は私が悪いんですし。酔っていたとは言えあんな事…」
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