恋を知らない花~初恋~
「へぇ~、谷川さんすごい才色兼備なんですね。でも川井さんも谷川さんに勝るくらい才色兼備ですよ。」

「ハハハッ、そんなお世辞…ありがとうございます。でもやっぱり美希には勝てません。」

私は自虐的に笑う。
自分で発した言葉が自分の心をえぐる。

「川井さんの作ってくれた料理も美味しかったですし、彼氏さんが羨ましいです。」

えっ?彼氏さん?
一瞬、真中さんが誰のことを言っているのかわからなかった。

「あの、彼氏って…まさか以前城戸課長に交代の挨拶をしたときの?」

「えぇ、男の目から見てもカッコ良くて見惚れてしまいそうな方ですね。川井さんとお二人すごくお似合いでしたよ。」

「え、えぇ、確かに彼は華のある外見をしてますよね。きっと皮肉なくらい仕事もスマートにこなしてると思います。でも彼は私と一緒で人間として欠陥品なんです。だから一緒にいて楽で…う~ん、一応正式にお付き合いと言う形を取りましたがでもやっぱり彼氏ではありません。友人のような兄のようなそんな存在です。彼の尊厳もありますから詳しくは言えないのですが…拓也はもうすぐ結婚するんですよ。言葉で説明するのって難しいですね。」

なぜか、ムキになって拓也の説明をする自分がおかしくて最後の方は笑ってしまっていた。
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