恋を知らない花~初恋~
「遠慮されなくても。」

なぜか真中さんががっかりした表情になる。

「あっ、もし真中さんがお嫌でなければまた休みの前の日にでも一緒に飲みませんか?今日のお礼もしたいし。このお酒には負けますが美味しい日本酒も持ってきます。こればかり飲むのは気がひけるので。」

「えっ、あっ、そんなお礼だなんて…気にしないで下さい。」

「あ~、やっぱり図々しいですよね。すいません。」

私がわざと落ち込んだ表情を見せると慌てた様子で日本酒を置き顔の前で手を振る。

「そんなことないんですよ。逆です。川井さんみたいな方が俺なんかと一緒にいることがすごいのに一緒に飲むだなんて。申し訳ないです。」

なんとも真中さんらしい返事につい吹き出してしまった。

「プッ、フフフフッ、真中さんと一緒に居るの楽しいですよ?何かリクエストしてくだされば夕食も兼ねて作ります。上手ではありませんが。ヘヘッ」

何でそんなことを言ったのか、テキトーな料理しかできないし人様に振る舞えるレベルではないのに…

「そんなっ、夢のような提案を。でも俺とじゃそんなに楽しめないですよ…」

なぜ真中さんはこんなに自己評価が低いのだろう?
こんなに純粋でキレイな人に私が近づいてはいけないのに。
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