無愛想なツンデレ彼氏ができました(祝)

さん

日曜日は朝、目が覚めてお気に入りの曲を聴きながら、お部屋の掃除をして普段開けれない窓を開けての空気の入れ替え。なんて清々しい空気。天気も良く綺麗なお部屋でちゃんとしたお昼ご飯を食べる。

 これでも調理師免許を持っているので作ろうと思えば結構出来る子なのです。
今日のメニューは、大好きなタンシチューランチ!圧力鍋でトロトロにしたタンをデミグラスソースで煮込みました。軽くソテーした、歯応え抜群のエリンギも大量投入すれば出来上がりです。

 小分けにして冷凍すればいつでも食べれるから大鍋で大量生産致しましたの。
彼氏でもできたなら、是非とも食べて貰いたい一品で有ります。

 お休みの日曜日は楽しい充実感満載の1日になりました。



月曜日の朝、起きて直ぐ何時ものネット占いを開き今日の運勢占ったら、なんと!ワールドが!!世界よ世界!1番良いやつ。私が一番大好きなカード!ワールド~内容は。

《人生のバラバラだったパーツは今組み合わさり、1つの意味を持ち始めたのです。これからあなたの運気は、最高潮に達していくでしょう。思いもよらない素敵な出来事が、起きそうな予感がしませんか?それで終わりではありません。幸せの階段を、一歩一歩進んで行く楽しみを、味わってください》

だって~すっご~い!楽しい気分で、仕事にいけるぅー!ウキウキ気分でバスに乗り、今週1週間頑張るぞ~!

 そうだ!最近涼しくなったし、明日から自転車通勤しようかなぁ。早めに出れば間に合うよね。

なんて戯言も、職場に着いてしまえば、忙しい朝の出勤タイムのパン屋等、何も考えてる暇もない。慌ただしく、ただひたすらパンを焼き、どうにか一山越えたみたいで客足が少なくなり始めた。

 静かになった店内の奥に集まり落ち着いた時間のお茶タイム。試作品や新作パンと、各自好きな飲み物を入れての幸せタイムだ。

私は今日は、アイスロイヤルミルクティーにした。店長の奥様の趣味で、色々な飲み物が店の内部に常時置かれている。毎朝のこの時間が大好きなの!この前なんて自家焙煎珈琲を持ってきてくれたんだけどね、今まで飲んだ珈琲の中で、一番美味しかったの。各種様々なフレーバーティーもあるし!毎日迷っちゃうよね。

奥様は、可愛くてお茶目な方で、なんであんな真面目一本のパン職人と結婚したんだろう?店長のお家は、まだ小さな子供がいる為、奥様はあまりお店に来ない。以前は、店員さんとしてレジ等を担当していたらしいのだか、当分子供が成長する迄はお預けらしい。人気の看板娘だったらしい。うん!わかる。私は、転職を重ねての今なので、以前のお店の雰囲気はわからないけれど、きっとほのぼのとした癒しの店員さんだったのだろう。

今のレジのパートさんも、3人いるけれど、皆さん気さくで良い人だ!楽しいお茶タイムもおしまいで片付けてると、とととっと1人のパートさんがやってきた。


「ねえ梓ちゃん、そこの県庁に勤めてる背の高いイケメンさん、知ってる?」


私は何となくわかった。以前からパートさんの間での、イケメンランキングで上位に君臨している、人だと思う。



「はい多分ですが」

「その人ね、朝たまたまその時間空いててね。少し話したのよ!《あのいつもガラス越しで焼いている人は、彼氏はいますか?》ですって。私ね、多分居ないわよって答えちゃったの、居ないよね?梓ちゃん」

「ええ居ないですね」

「あの人ね、その後(ありがとうございました。今度声掛けてみます)だってぇ~おばちゃんがドキドキしちゃったわ」



私は何と答えて良いものか。ガラス越しでみたことは、ある……まぁイケメンさんだよね。県庁なんて、倒産しそうに無い職場は良い事だ。でもこんな事はたまーにあるんだよね。レジの人にあの子は?なんて!ガラス越しで必死な私は、良く見えるらしい。友達談だけど。



「そうですね!声かけられたら良いですねー」


と、話を合わせていると。

裏口から低い呼び声が聞こえた。小麦等を扱う、会社の配達さんだ!この人、何時も対応が無愛想で苦手なんだよね。先週は初めて笑顔を拝めたけど、どうしようかな?店長がいる時は、大抵店長が相手してくれるんだけど、居ないのかな?私が対応すると何だかいきなり表情が消えるのよね。今日は機嫌が良いかなぁ?今日は聞こえてくる声からして不機嫌ねー行きたく無い!店長~~!


「梓ちゃん、さっき店長電球が切れてストックが無いからって、買いに行ったから居ないわよ。小麦の小早川さんが奥で待ってるわよ」


違うパートさんから声がかかり、仕方なく向かう。


「はい!遅れてすみません。いつもありがとうございます」

「おはようございます。注文の品を持ってきました。何時もの場所に置いてありますので、ご確認ください。此方、伝票です」

「はい、確認大丈夫です。受け取りました」

当たり前なのだけど、なんて事務的な会話なんだろう。この表情……この前笑った時は、少しドキっとしたのになぁ勿体ない。身体もムキムキマンではなく、会社の制服の上からでも分かるほどの細マッチョで、身長も高いし顔も整っている。さそがし配達先でキャーキャー言われそうな感じなのに。表情がアウトだ。勿体無い。

あれ?終わったのに帰らない、何故だ。私は、これから仕込みに忙しいのに帰ってくれないと此処から立ち去れないんだけど……



「あの」

「はいなんでしょう?」

「これ……今週の土日どちらか行きませんか?」

「はい?」


差し出された手を見ると、厚い手に握られているのは、アクション物の映画のチケットが……あーどうしょう!どう答えれば正解?テンパる!!


「えっとーえっと…暇ですが…」

「良かった。それでは土曜日11時に此方の映画館の時計台の前で、場所は此方の紙に書いてます。それでは当日待ってます」


あっという間に去っていった……

えーーーーーーーどうしょう!あの人苦手!会話できないのに、なんで誘われた。固まって⁇⁇⁇で、脳内で叫びまくってた私に、店長が帰ってきて。


「おい!やるぞ!」

「は、はい!」


あたふたしながら動き出した。心臓ドキドキだし!手が手が震えてるぅー貰った紙はエプロンのポケットに突っ込んで……

どうにかこうにか1日を終えた私は、思い返しては、ドキドキしっぱなしだ。

土曜日土曜日土曜日土曜日土曜日土曜日どうする?
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