ウエディングドレスを着せてやろう
「あんまり人に懐かない飼い猫の話を聞いたんです」
と花鈴は詩織に言った。
「長く飼ってるけど、あんまり見かけないって」
「なにそれ」
とリラクゼーションルームで珈琲を飲みながら詩織は言う。
あの少し区切られた場所でしゃべっているのだが。
二人とも日に日に秘密感が薄れてきてしまっているのか。
声がどんどん高くなってしまっていた。
「専務のおうちの猫の話です。
たま~に来るらしいです」
「飼い猫なの? それ。
っていうか、なんの話してんのよ。
もっとムードの出るような話はなかったの?」
と仙子に続き、詩織にも忠告を受ける。