完璧御曹司の優しい結婚事情
「力になれるかはわからないけど、身近で誰かが知っていてくれるのは、心強いんじゃないかなあ」

「……そうですね。本当に仕事とは関係ないことなんですけど……今朝、実家に残してきた愛猫の太郎君が……老衰で死んじゃったんです。さっき実家の者からメールが来て……ここ数ヶ月、寝てばかりだったので、なんとなく覚悟はしてたんですけど」

太郎君と過ごした日々や、最近のすっかり痩せてしまった姿を思い出して、再び涙が溢れてくる。

「すみません」

「謝ることはないよ。そうか……一緒に過ごしてきた存在がいなくなるのは、寂しいものだよね」

真田課長は、上方のどこか一点を見つめながら、呟くように言った。その姿は、私に話しているというより、他の誰か……ううん、課長自身に話しているように思えた。



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