完璧御曹司の優しい結婚事情
佐藤さんの指摘を受けて、午後からは樹さんを目で追わないように気を付けていた。でも、ふと話し声が聞こえてくると、おもわず顔を上げてしまう。たまに目が合うと微笑みかけられるものだから、ドキドキして少しの間仕事が手につかなくなってしまう。


夕方、一息入れようと給湯室に行くと、先客がいた。
鈴木さんだ……足を踏み得れるのを躊躇してしまう。

「葉月ちゃんも休憩?」

「は、はい」

「明日の夜は空いてる?ご飯でも食べに行こうよ」

「明日はちょっと……」

「もう、いつも断ってばかりじゃん。たまにはいいだろ?」

「いえ、あの……わ、私、好きな人がいるので、他の男性と2人で出かけるっていうのはできません。ごめんなさい」

どうかこれで諦めてくれますように。祈るような気持ちで伝えた。

「えっ……」

一瞬ポカンとした鈴木さん。でも、すぐさま自分を取り戻す。


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