完璧御曹司の優しい結婚事情
「大丈夫です。ありがとうございました」

「いや。僕の方こそ、嬉しかったよ」

意味がわからず、首を傾げる。私、樹さんが喜ぶようなことをしたかなあ……

「好きな人がいるって。付き合ってるって宣言してくれて。本当は僕が葉月の彼氏だって言いふらしたいところだけど、今はこれで我慢するよ」

樹さんにふんわり抱きしめられて驚いた。会社の給湯室にも関わらず、おもわず私も樹さんの背中に腕を回す。


「それにしても、樹さんの登場は、タイミングがよかったですね」

「……葉月が給湯室に行くのが見えて、追ってきたんだよ。少し前に鈴木が入っていくのを見かけたから、心配だったんだ」

「えっ?」

ここは会社で、樹さんはいつも誰に対しても穏やかな笑みを見せてて……それなのに、今の樹さんは耳を赤くして、口元を押さえて目を泳がせている。


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