完璧御曹司の優しい結婚事情
「あっ、課長……じゃなくて、部長。おは……って、えぇ!?」

うわっ。早くも鈴木さんに出会ってしまった。

「ああ、おはよう」

「ど、ど、ど、どういうことですか、それ」

指差したのは、もちろんつながれた手。鈴木さんは、手と樹さんと私を交互に見て、口をパクパクさせている。

「ん?」

見せ付けるように、つないでいた手を持ち上げる樹さん。

「これ?」

「ま、まさか、葉月ちゃんが付き合ってるのって……」

「違うよ」

「じゃ、じゃあ、なんで……それ?」

「付き合ってるんじゃなくて、婚約したんだよ。葉月は僕の婚約者だよ」

「えぇぇぇー」

地を揺るがすような鈴木さんの声。
樹さんと私が婚約したという話は、瞬く間に会社中に広がった。

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