完璧御曹司の優しい結婚事情
そんなふうに他愛もないことを話していると、あっという間に自宅に着いた。
課長の豪華なマンションとは比べるのも恥ずかしくなる、庶民的な我が家。5階建ての少し築年数が経った見慣れたマンション。その差が、課長との差をあからさまに見せられているようで、なぜか胸が痛んだ。


「昨夜から、本当にお世話になりました」

「ああ、気にしないで。それじゃあ、また会社で」

「はい。ありがとうございました」




自宅にもどって、とりあえずシャワーを浴びてさっぱりした。
それにしても……改めて思うと、本当にとんでもないことをしてしまった。

本来なら、立ち直れないような失態だけど、課長の優しさのおかげで、それをあまり感じずにいられる。少し気恥ずかしいけれど、月曜日は平常心で出勤できそうだ。

とりあえず、心配してくれていた今井さんにメールを返して、その後はゆっくりすごすことにした。




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