裏切り
12章・・弁護士3️⃣・・

梓side


翼が、家を出てから
私は、不思議と普通に生活を
送っていた。

ただ····かず君とは
会えて······いなかった·····

離婚届は、記入した。
証人欄は、友人が書いてくれた。

「私が、遊びに誘ったからだよね?」
と、気にする友人。
だが、自分でやってきたことだから
と、私は言った。

証人欄の記入は、
他に頼める人がいないから、
お願いしただけだ。

そんな時に
知らない番号から
電話がかかった。

携帯ではなく、固定電話からだ。
でてみると····

電話の相手は
自分は、弁護士だと名乗った。

名前は、奥菜さんと言う。

奥菜さんから
「弁護士事務所の方に
離婚届を持って来て頂きたい。」
と、言われた。

明日の夕方
伺う事を約束した。


かず君には、母親の調子が
悪くて家に帰ったりしていると
話しておいた。

かず君の姿は
病院でたまにみる······

仕事が、終わり
奥菜先生の元に向かう

案内された部屋で待つと·····
熊のような大きな体の人が
入ってきて
「お待たせしました、
奥菜と申します。」
と、言って私の前に腰かけた。

先生は、ラクビーかなにかを
していたかのような体型
髪は短髪で眼鏡をかけている。
切れ長の目は、冷たさがあるが
イケメンだ。

「それでは、進藤さん
お願いしていました
離婚届は、持ってきて頂けましたか?」
「はっ、はい。持ってきました。」
と、答えながら
離婚届をテーブルに置いた。
先生は、それを手に取ると
確認して
「ありがとうございます。
こちらは、私の方で提出させて
頂きます。
それから、ご主人の翼さんは
慰謝料も住まいも何も
要らないと言われましたが
夫婦の共有財産は折半となります。
預貯金だけと言われてましたが
間違いありませんか?」
「あっ、はい。」
「そうですか。
それでしたら、預貯金を
お調べしまして折半と
させて頂きます。
住まいに関しては、
必要ないとの事でした。
翼さんの荷物は、
奥様が不在の時に
全て運び出します。
終わり次第、鍵はお預かりしまして
奥様にお渡し致します。
お住まいの家財等の処分をする場合は
奥様がご負担ください。
それと
お相手の方にも、慰謝料の請求は
されないと言うことでした。
これで宜しければ
こちらにご署名をお願い致します。」
と、いま、話された内容を
書面にしたものを見せられた。

翼君の欄は記入されていた。

「あのー、翼君には、
もう会えないのですか?」
「はい、翼さんは、もうお会い
したくないそうです。」
「そっ、そうですか。」
「私が、申し上げる事では
ありませんが。
結婚して、まだ五年
いまから、子供を作り
幸せな家庭を築いて行く未来を
望んで一緒になったのではありませんか?
浮気相手に真剣になったの
でしたら、自らを綺麗にしてからで
良かったのではありませんか?
人を巻き込んで
傷つける必要があったのでしょうか?
私には、あなたの気持ちを
理解するつもりも
お説教をするつもりもありませんが。
翼さんは、一日も早く
終わらせたいとおっしゃって
いましたので
共有財産については、
早急にお調べします。
それでは、お引き取り下さい。」
と、言うと
ドアを開けて
私に出るように促した。
< 35 / 96 >

この作品をシェア

pagetop