裏切り

大典side


千亜季が、土曜日に荷物を
引き取りにくるから
不在にしておくように
哲也さんに言われた。

そっと影から千亜季を見る。

相変わらず綺麗で
真っ直ぐ前を見て歩いている
千亜季······
時々、寂しそうな顔をしていた

全て、俺のせいだ····

千亜季の仕事部屋の机や椅子
本棚が運び出されていく。

俺は····なんて····ことを·····

····千亜季と過ごした····
幸せな····時は···もう····こない·····

涙で、千亜季が見えなくなる
< 40 / 96 >

この作品をシェア

pagetop