裏切り
19章・・二年後・・

一也と梓side


「樹莉(じゅり)待って」
とことこ先を歩く娘に
私は後ろをついてあるく。
「パパっ~」
娘の樹莉がパパを見つけて
手を差し出して
キラキラしている。
もぅ、パパ好きなんだから

私だって樹莉の事を
大切に大事にしてるのに。
と、思いながら
両ひざに手を置いて
息を整えていると
「大丈夫か?
樹莉、ママのお腹には
赤ちゃんがいるのだから
急いだらダメだよって
約束したよね。」
と、樹莉に話し、かず君に
「ママ~、ごめんちゃさい。」
と、悲しそうに言う娘

大好きなパパに叱られたのと
私を心配してだとわかる

「大丈夫だよ。
樹莉は、早くパパに
会いたかったんだよね。」
と、私が樹莉の頭を撫でると
うんと言いながら
私を気遣うから
本当にママは、大丈夫だよ
と、再度言うと
パァッと明るい顔になる

「まったく、樹莉に甘いんだから。」
と、私の頭をコツンとする
かず君に
エヘっと笑っていると
かず君に手を引かれ
ベンチに座らせられた。

その間にかず君は、
樹莉を高いたかいしたり
クルクル回って
遊んでいる。

私は、無事に出産をした。

かず君のお母さんである
京花さんの手で私の元に
来てくれた樹莉。
お義母さんもかず君も私も
涙、涙の出産
回りの看護師さんや先生から
温かく見守られながら。

こんなに幸せで良いのか
と、思いながら
幸せをかみしめていた。

新生児室前には
私の両親が可愛い・可愛いと
二人で喜んでいた。

かず君は、大学病院の研修を
終えてお義母さんの住んでいる
県立病院に小児科医として
勤務している。

私がお義母さんの近くにいたいと
話した。
私の方は、両親揃っていて
父親は、仕事をまだやっている事もあり
母は、そちらで忙しい
それに·····
私は、かず君のお母さんが
とっても好きだったから。

お義母さんに
沢山の事を習って
今では、料理もかず君が
ほめてくれる程。

お義母さんの病院で
働かせてもらおうと思っていたら
二人目がお腹に········

かず君もお義母さんも
すごく喜んでくれた
······が········

「ずっと、俺のそばで
ニコニコしていたら、良いんだよ
梓は······」
と、言われて
計画的だったのだと
おかしいやら嬉しいやら
「かず君、大好き」
と、ほっぺにチュッとすると
耳を赤くしながら
「俺は、愛してる。」
と、言われて
はぁっ、かてない。

今日は、検診の日で
一緒にいくと言う
かず君は、仕事を抜けたらしい。
優秀な先生方がいらっしゃるから
問題ない、と言うかず君。

若くてかっこ良くて
先生としても腕が良いかず君は、
お母さん方からも
子供達からも人気の先生だと
看護師さんが教えてくれた。

心配でないわけではないが
かず君は、私も樹莉の事も
とっても大切に大事に
してくれているから
大丈夫だと思っている

「梓、行くよ」
「ママ、いちゅよ。」
と、二人に呼ばれて
「は~い。」
と、椅子から立ち上がると
かず君は、樹莉を抱いている
反対の手を私と繋いで
歩きだす。

うふふっ、お義母さんに
また、ひやかされそう······
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