fairy tale syndrome
不思議の国のアリス症候群
ピピッと機械音が響く。脇に挟んだ体温計を取り出すと、熱は三十八度を超えていた。

「やっぱり熱があるじゃない。全くもう!夜遅くまで起きているから体調を崩しやすいのよ!」

お母さんが呆れたように言う。私は「せっかく今日友達とカラオケ行く予定だったのに〜!!」と嘆いた。熱を出してしまった自分を恨む。

「とにかく、薬を飲んで大人しく寝ているのよ?」

そう言い、お母さんは仕事に行ってしまった。途端に家の中が寂しくなる。

お父さんも仕事、お姉ちゃんも弟もそれぞれ友達と遊びに行っている。午後からおばあちゃんが来てくれるみたいだけど、それまで寂しいな……。

私は布団の上で横になりながら、もしかするとまた私の世界がおかしくなるかもと思った。小さい頃から熱を出すと、私の目の前に見えている景色はおかしくなる。

自分の手足が突然大きくなって、小さい頃はパニックを起こしていた。今ではすっかり慣れたんだけどね。
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