"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる
「まぁまぁ、お二人さん!そんなことより、午後からどうするよ??」

一触即発しそうな俺たちの間にするっと入り込んだ千葉崎により、渋々俺たちは睨み合うだけで終わった。

午後からどうするというのは、本来ならば俺たちの所属するバスケサークル(と、いいつつバスケ以外の運動もするサークル)の活動が夕方まである筈だったのだが、夏風邪が流行し、参加人数が少ないから、と午前で解散になってしまった。

故に、午後からやることがない。


だけどな、千葉崎。午後も一緒に行動するってのは今知ったぞ。

……まぁ別に、何でもいいんだけど。


「悠介ってさ、引っ越したんだよね?」

「あぁ」

酒井がニヤリと笑う。
嫌な予感しかしない。


「じゃあ、悠介の家に遊びに行こー!!」

「は!?」

「おっ!いいじゃ〜ん!決まりだな!」


酒井の提案にすっかり乗り気な千葉崎。

二人のキラキラとした目が俺に向けられて、嫌でも逃げ道はないことを知った。

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