美術室のユーレイ



「ゆ、結杏!」


「舞空!来るな!」


結杏の元へ行こうとした私を美斗くんは首だけ後ろにひねり、青い瞳で睨んで止めた。


いつの間にか昨日悪霊を倒した時と同じ服装をしている。


普段のつかみどころがなく、へらへらしている感じからは想像がつかないほど怖い。


「大丈夫、なんとかするから。下がってて」


そう言い首を前に戻した。


「…わかった」


もう、それしか言えなかった。




「おい悪霊。お前の相手は俺だ」


そう言われ振り返った悪霊の姿に全身が凍りついた。

目は赤く、口は張り裂け、皮膚はボロボロだった。


老婆とも違う、人目で人ではないとわかる。

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