溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
25話「新たな疑惑」





   25話「新たな疑惑」





 ピンクと薄紫のカプセル。
 その薬を見た瞬間に、風香はある事を思い出した。


 『誕生日に柊さんの家に行くなら、メモリーロス探してみたら。噂によると、ピンクと薄紫色のパステル色のカプセルらしいよ。なんか可愛いよね』


 それは美鈴が風香に話したもの。
 噂だという事だが、目の前にあるカプセルが、美鈴が教えてくれたメモリーロスだというカプセルの色と全く同じなのだ。
 その薬を見つめ、風香は言葉を失ってしまった。


 「あぁ……違う薬が出てしまいました。これもいいですけどね」
 「………」
 「風香さん?どうしたんですか?」
 「え、あ……ごめんなさい。ボーっとしちゃって。あの、その変わった色をした薬は?」
 「あぁ……これは何か安定剤みたいです。俺は飲んだことないんですけどね。ちょっと事情があって不安定になった時に貰ってからそのままで………」
 「………そうですか………」


 そう言うと、和臣はその薬をポーチに戻して、風香にいつもの薬を手渡した。
 それを受け取りながらも、風香は頭の中が混乱していた。

 どうして彼がメモリーロスを持っているのだろうか?警察官だから、という理由ではなさそうだ。治療目的とはいうものの、タイミングが良すぎないだろうか。

 そして、彼は柊の後輩でもあるのだ。
 医療目的で薬を受け取り、柊にメモリーロスを手渡すのは容易だろう。
 ならば、柊は彼と手を組んでメモリーロスを飲んでいるのでは?
 そんな事を考えて、風香は血の気が引いてしまった。



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