溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を


 「あ、でも、メモリーロスを飲み続けていなかったのに、どうして長い間記憶を失ったままになってたの?」
 「あぁ………それは、和臣からサプリメントもらってただろ?あれ、実は医療用のメモリーロスだったんだ」
 「そ、そうだったの!?」
 「頭痛がするのは、記憶が戻ってくる事のサインらしいんだ。だから、その時に薬を飲むように伝えてもらったんだ。風香はしっかり量を守って飲んでくれるだろうからって安心してたんだ。けど………」
 「………あ、少し早く飲んでしまったから、倒れてしまったの?」


 少し前に自分が倒れたことを思い出しそれを伝えると、柊は頷きながら「そうだよ」と教えてくれた。
 

 「やはり効きすぎるのはよくないみたいでね。薬により体に負荷がかかってしまったみたいだ」
 「そうだったんだ……」


 あの時、彼が自分に謝罪した意味は、そういう事だったのだ、と風香は改めて気づいた。




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