溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
8話「宝箱のお菓子」





   8話「宝箱のお菓子」





 『そう………じゃあ見つかったのね』
 「うん。だから、一安心ではあるかな」
 『でも、風香の事忘れてるなんて………また、悩みすぎないでね?』
 「うん………大丈夫。ありがとう」


 風香は、友人である美鈴に彼が見つかった事を電話で報告した。美鈴も心配してくれていたのだ。それを伝えたときは喜んでくれていたけれど、記憶がないと言うと驚き、声を低くしてしまった。


 『それなのに、またデートに誘われたなんて驚きだわ。記憶がなくなったのに、縁は繋がったままなんて、素敵じゃない!』
 「そう、かな……。そう言われるとは嬉しいな」
 『デートは深く考えないで楽しんできて欲しいな』
 「うん。そうするね」


 彼女との電話を終えた後、風香は仕事に戻る。今回の仕事は、ゲームの背景の発注だった。近未来の街という指定で、少し寂れており、緑がない街という事だった。
 イラストレーターとしてキャラクターを描く事もあるが、風香は背景画が最も得意だった。
 RPGになるような、ありえない架空の街や森、海などファンタジー要素が強い絵柄が好きだった。沢山の絵を提供してきたからか、大手ゲームメーカーともよく契約するようになってきたのはありがたかった。
 風香は自分の仕事がとても好きで、好きなことをしてお金を貰えているのがありがたいと思っていた。

 いつものようにゲームの設定を熟読して、自分の中でイメージを膨らませる。それを取引相手とイメージの相互がないかを何度も話し合いそして絵にしていく。書き直しなども何回もあり大変な部分も多いが、それが完成したとにゲーム開発をした人の想像はこんな感じだったの知れたり、ゲームをプレイしてキャラクターが背景の上に登場すると感動するものだった。


 今回は以前にも絵を描いた事があったゲームだったために、想像はしやすかった。
 絵を描いている間、風香は没頭してしまうのか、周りの事が見えなくなってしまう。音楽をかける事もなく、静かな部屋でパソコンを見つめながら絵を描き続けるのだ。



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