溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を



 「和臣、行くぞ」
 「はい!」


 和臣も一緒に来てくれたようで、柊に駆け寄り、風香の部屋へと入っていく。複数の警察官もその後に続いた。風香の傍には女性警察官が居てくれていた。

 しばらくすると、柊が出てきて「誰もいかったよ」と教えてくれた。風香はホッとして、明かりがつけられた部屋を見た。


 「貴重品や失くなってるものがあるかを確認して貰いたいんだ。何かを探しているような感じだったから………。自分の部屋が荒らされてるのはショックな事だから、無理はしないで」


 柊は仕事モードになったのか、少し厳しい表情でそう言うと、風香を部屋の中へとうながした。皿などが割れており危険だったのでスリッパを履いて入室した。

 明るいところで見る自分の部屋は、大きな地震があったかのように荒れ果てていた。
 リビングや寝室は、引き出しは全て開いており、中身も飛び出ていたし、クローゼットの洋服も散乱していた。仕事道具のパソコンは無事だったが、画材置き場はぐじゃぐじゃになっており、風香はさすがに悲しくなってしまった。


 「大丈夫?」
 「………やっぱり怖いし悲しいですね………。パッと見た感じは1番高価なパソコンは大丈夫でしたし………あと少し確認してみます」


 風香はそういうと部屋の中をゆっくりと見て回った。けれど、無くなったものは見つからず、全て落ちていたり、そのままになっていた。




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