溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を





   ☆☆☆




 久しぶりに彼の体温を感じながら眠る夜。
 風香はとても嬉しかったのか、夢の中でも同じように彼に抱きついて眠っていた。
 ふわふわとして気持ちがいい。こんなにも安心して寝たのはいつぶりだろうか。
 薬を飲んでもこんなに熟睡出来ていないだろうな。
 薬………。そう言えば、最近飲んでないな。


 と、思った瞬間だった。
 ズキッと激しい頭痛に襲われた。


 「クッ…………痛っ…………」


 風香は頭を押さえて、その痛みに耐えた。けれど、目には涙が滲むほどだった。
 彼が行方不明になってから、偏頭痛に悩む事は多少はあったけれど、ここまで酷いものはなかった。
 風香は、苦痛に声を洩らしながら、それが治まるのを待った。


 「ん………風香ちゃん?………っっ!どうしたの?」
 「…………痛い………頭が………」
 「大丈夫?病院に行こうか?」
 「………大丈夫です。きっと、寝ていれば治るので………」


 震える声でそう答える。
 風香は痛みに耐えながら、彼を見てニッコリと微笑んだ。すると、柊の方が辛そうな顔になり、そして風香を優しく抱きしめた。
 肩を擦りながら、風香の痛みが取れるまで傍に居てくれるようだった。



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