溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
「朝食は、サンドイッチを買ってきたよ。フルーツサンドもあるんだ。昨日夕食もほとんど食べてないからお腹すいてるでしょ?」
「ありがとう。おいしそう………」
「お昼もお弁当買ってはきたけど………それでよかったかな?ごめんね、俺あんまり料理はしなくて、食材が家にないんだ」
「ありがとうございます」
「夜には戻るよ。家にあるものは何でも使って食べていいからね。それから、家からは出ないようにして」
「はい。いってらっしゃい」
風香は何気なくそう言ったけれど、お見送りするのはどうも新婚や同棲をしている恋人のようで、恥ずかしくなる。
それは、柊も同じだったようで、驚いた後に少し頬を赤くして嬉しそうにはにかんだ。
「うん、いってきます」
そういうと、柊は風香を引き寄せて小さくキスをした。そのして、そのまま額同士をくっ付けたまま「パジャマ姿の君を堪能出来ないのが残念だよ」と、言い残すと小さく手を振って玄関の方へと向かってしまった。
慌てて玄関に向かうと、「夜の楽しみにしておく」と、柊は部屋を出ていった。
「出掛ける間際にそんな事言うのは反則だよ」
風香は、朝から甘い言葉を囁く柊を思い出しては、バタバタと足を踏みながら悶えるしかなかった。