もう一度だけ、キミに逢いたい。

なぜなら、ゆりちゃんの背負っているものを受け止めてくれる人じゃないとダメだから。


ゆりちゃんの背負っているものはとてつもなく重い。


私が言うのもあれだけど、正直そんな人がいるか、と思ってしまうくらい。


それに、“あの時”のトラウマから、人間恐怖症と人間嫌いになってしまい、私以外の人と接することを怖がっていたから。


今は高校に通えているけど、それでもゆりちゃんは自分から壁を作って誰とも関わろうとしていない様子だった。




……だから。


五年前に出逢った伊織くんは、唯一の希望の光だった。


彼の瞳を見た瞬間。


私はどこかゆりちゃんと重なるものを感じた。


まだゆりちゃんのように全てが闇に覆われたような瞳をしているわけではない。


でも、どこか影が差していて、何かを諦めているようなその瞳。

< 369 / 471 >

この作品をシェア

pagetop