もう一度だけ、キミに逢いたい。

早く、早く、伊織くんに逢いたいっ……


お願いっ……お願いだから、目を開かせて……っ。




───そう、願った瞬間。




フッと一気に目蓋が軽くなって、ゆっくりと目を開ける。


今までずっと暗闇の中にいたからか、どこからか差し込んでくる光が眩しくて仕方ない。


それでもわたしは、真っ先に伊織くんの姿を探す。





「…ゆ、り……?」




ものすごく小さくてか細い声だったけれど、わたしの耳にはしっかり届いた。




「いおり、くん……」


「ゆり…!?俺がっ…俺が、分かるのか……!?」




視界いっぱいに、信じられないというような顔をした伊織くんが映った。




「う、ん……」


分かるよ、分かる…


だってわたしは、伊織くんに逢いたくて戻ってきたんだからっ…


< 439 / 471 >

この作品をシェア

pagetop