不器用オオカミとひみつの同居生活。


「私は我慢も遠慮もしてませんよ。食べたいだけ食べてます」


合わさっていた手に少し力を入れてみる。


私よりずっと大きいそれは、当たり前だけど男の子の手だった。


長くて繊細そうに見えてもこうして握ってみればごつごつと骨張っている。


ところどころに傷があるのは、やっぱり喧嘩のせいなのだろうか。



「ね、花平く……って寝てるし」


目の前の彼はすでに目を閉じていて、寝息を立てている。


本当に隙あらば寝るなこの人……ていうかいつから寝てたんだろう。

ちゃんと私の話、聞いてたのかな。



呼吸に合わせて胸が上下している。


私が乗っているせいで息苦しくならないようにと、離れようとしたときだった。



────ぐっ、


「……これ本当に寝てるの?」


背中にまわされた手が、私が離れないように
よりいっそう強く抱きしめられる。


顔をのぞき込んでも寝ているようにしか見えない。


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