前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
「伊吹をいじめたら許さないからな」
「なに小学生みたいなこと言ってるの。いじめなんてするわけないでしょ」


 即座にお母様がツッコみ、呆れ顔をした。

 しかし先生は、「どうだか。あなたは気が強いから」と淡々と返し、お母様との軽い言い合いが始まる。といっても、険悪さはなくじゃれ合っているような調子だ。

 やっぱり親子というより、年の離れた姉弟みたいだな……と違う視点で観察していると、見兼ねたお父様が止めに入る。


「おいおい、伊吹さんを怖がらせるなよ。この無愛想な手術バカの久夜を気に入ってくれている貴重な娘さんなんだから、逃げられたら困るだろう」
「その通りだ」
「久夜、今けなされてたのわかってる?」


 賛同する先生にお母様が微妙な顔で言うので、私はとうとう堪え切れずに吹き出した。

 先生のご両親もかなり楽しい人たちだ。複雑な家庭の事情を聞いて、もしかしたらあまり仲がよくないのかも……と想像していたが、それは杞憂に終わった。

 気さくに接してくれるおかげで徐々に緊張が解れていき、美味しい料理とともに有意義なひとときを楽しむことができた。

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