泡沫の記憶

「まだ泣いてんの?
そんな泣いてたら…できないけど…
…
せっかくクリスマスなのにね」



オジサンと同じ布団の中にいる



ドキドキ…

ドキドキ…



「ごめん、なさい…
もぉ、泣かないから…
…
だから…大丈夫…」



「冗談…
別にオレ、
どーしてもしたいわけじゃないから…」



オジサンは優しく私の髪を撫でてくれた



「代わりにオレの恋話聞いてくれる?
…
もぉひとつ話したいのあったから…
…
子守唄だと思って聞いてよ
…
たぶん3秒で寝れるかも…
…
…
…
かわいいな…って最初から思ってたんだ
…
別に下心とかなしで
オレの後ろを付いてくるキミが
捨てられた猫みたいで…
…
かわいいから
オレが拾わなかったら、きっと
他の誰かにすぐ拾われちゃうな…って
…
それでアパートに入れたんだ
…
一度断わった時のキミの顔が
オレに告白してくれた子の顔に重なった
…
オレが、ごめん…って言った時の
あの時のあの子、思い出した
…
それで話したくなった
キミに純愛だねってバカにされたけど
うん…純愛だったね
久しぶりにそんな気持ち思い出した
…
キミが思い出させてくれた
…
…
毎日一緒にいたら
いろんなキミが見れて…
…
してもいいよ…って言われた時は
この子、大丈夫かな?って思ったけど
オレが守ってあげなきゃいけない気がした
…
だから、できなかった
キミに魅力がなかったとか
キミを女性として見てなかったとかじゃなくて
よく我慢できたな…って自分でも思う
…
…
名前も誕生日も知らない
キミのこと
いろいろ知りたくなった
…
でも知ってしまったら
手放せなくなりそうで…
知らないようにしてた
…
知れば知るほど
キミのことを好きになる気がした
…
好きになることを我慢してたのに
キミが好きって言ってくれた
…
けど
オレのことを好きって言ってくれたキミは
もしかしてキミが好きだった人と
オレを重ねてるだけかもしれない
そぉ思ったりした
…
だったら
これから先
オレはキミを
それ以上に好きになればいいのかな…って
…
そしたらキミも
それ以上にオレを好きになると思ってる
…
上書きしたい
…
キミが大好きだった人よりも
オレのこと好きにさせたい
…
そーなったら、いいな…って
…
無理かな…
…
ごめん…嫉妬して…
…
…
寝た…?
…
かわいい…
…
やっぱりキミのこと拾ってよかったな…
…
…
好きだよ…
朱夏…
…
オレのことも
もっと好きになってよ…」



好きだよ…

オジサン



私の名前…知ってた



寝てないよ

全部聞いてた



涙で窒息しそう



声を出したら

もっと泣いちゃう



素敵なクリスマスをありがとう



柊翔



冬が
ホントに好きな季節になったよ



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