優しい温もり【完結】
静まり返っていた校舎にパタパタと走る音・笑い声が戻って来た。
今日も1日終わり。
みんな一斉に帰ろうとしていた。

「みゅ~。またボーっとしていたでしょ?」
目の前には、チカが立っていた。

「みゅ~、うわの空ばっかりじゃない?
まぁダサ男の授業だし、やる気ある奴なんていないだろうけど・・・でもどうかした?」
チカは入試の時に友達になった子。偶然にも同じクラスだった。
私とは逆で活発で元気な女の子。
とってもお洒落で明るい色のショートヘアーがとても似合っている。

「う~ん。 何もないよ」
私は笑顔でチカを見た。

私は人前では常に笑顔で居るようにしていた。
よく、いつもニコニコしていて、悩みなんてなさそうだよねって言われたりする。

「本当に?・・・・じゃぁ未来の王子様についてでも考えていたの?
実際は、白馬に乗った王子様なんていないよ。ちゃんと現実見ようね。」
チカにはよく白馬の王子様ってからかわれる。
私が適当に答えた理想の彼氏が、白馬の王子を連想させたらしい。
でも答えた私は、今となっては何て言ったか覚えてもいない。
ついこの間のことなのに・・・。

「みゅ~、素はいいんだから・・・髪型変えて・メガネ止めてコンタクトにして、メークしたらモテモテになるのに・・・・もったいない。」
チカに最近よく言われる言葉。チカいわく、フワフワしていて守ってあげたいオーラが出ている私は、きっちり手入れをすれば全ての男が放っておかないらしい。

しっかり者の私に何を言ってるんだろうと思いながら、いつも笑顔で聞き流している。

私はセミロングの髪を後ろで1つに束ね、長い前髪で顔を隠している。
変装用にやっと探し出した黒ぶちのアラレちゃんメガネを掛けていた。
メガネは伊達。
メークは日焼け防止程度で、しているかしていないか判らないほどに薄い。
極力、目立たないようにしていた。
私だって本当はかわいくお洒落がしたい。
でも今の私は・・・・・・
時計に目をやる。

「みゅ~。今度買い物行こうよ。かわいく・・・・・。」

”やばい”
「ごめん。時間無いんだー。ばいばい。」
チカが何か話していたが私は急いで教室から駆け出した。
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