極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する
「あまり腹いっぱい食べると頭が働かなくなるから、仕事中は食べてもつまむくらいにしてるんだよ。だから、問題ない」
「そうなんだ……。なんか、結構ちゃんと仕事してるんだね。意外」
伊月が「どういう意味だよ」と笑ったところで、頼んでくれた料理が運ばれてきた。
「前菜とかのよさって、未だにわかんねーんだよな」と言いながら伊月が頼んでくれたのは、メイン料理のオンパレードで……トマト系、クリーム系のパスタが一皿ずつと、ピザが一枚、牛フィレ肉のステーキのようなものが二皿。
それらがテーブルに並べられたのを見て、注文を任せたことを少し後悔した。
てっきりコース料理的な、一人前として正しい量が出てくるとばかり思っていたのに、ざっと見た限り、三、四人前はありそうだ。しかもお腹に溜まりそうなメインばかり。
こんな好き勝手頼むひと初めて見た。
「好きなの食っていいから」
「胃が許す限り頑張る」
きっと、こんな高級イタリアンで食事をすることなんて、この先、数える程度しかない。もうそんな機会は訪れない可能性だってある。
お腹がペコペコに空いているときでよかった。
「いただきます」と手を合わせてから、目の前に広がるおいしそうな料理に手を伸ばした。