幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
三 乙女の過去
彼女はとても不思議な人。あの深い青い目を初めて見た時からずっと気になっていた。

彼女はきっと、生まれながらの美しい花。その美貌で誰もを振り向かせていく。

でも、彼女の顔に笑顔はない。笑えばもっと素敵なのに……。

美しい人を街で見るたびに、羨ましがる自分がいた。だって私の過去は、今のような綺麗なものではない。泥に汚れた石を必死で磨いて宝石にした。

シリウスから紹介されて会ったきりだったのに、頭から彼女の顔が離れなかった。彼女のことをもっと知りたいって思ったんだ。笑顔を見てみたいって。

人は、笑った顔が一番美しいって私がよく知っているから……。




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