幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
六 愛の形
私には、わからないことがあります。それは演劇の世界に関わる者として知っておかなければならないことだと思います。しかし、私にはそれが何かわかりません。

「愛してる」

その言葉を、演劇の中でよく聞きます。街を歩けば、その言葉を言う人を見かけます。しかし、私には愛が何かわからないのです。

他の人には感じない特別な想いだと教えてもらいました。しかし、私はそのような感情を抱いてはいません。

私はいつ、愛を知るのでしょうか。私は誰かに愛されているのでしょうか。いつか「愛してる」と言われる日が来るのでしょうか……。

私には、わかりません。この胸にある感情も、愛も、他人が知っている当たり前のことさえも。

早く、愛を知りたいのです。





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