18歳で父になった。
柚子の妊娠が発覚した週末。
今日は柚子の実家である宮崎にやって来た。
のはいいのだが…
「娘を誑かしたというわけか」
と、冷たい視線を浴びている俺と父さん。
母さんと璃苑は家で留守番をしている。
「2人とも学生だぞ。許可するわけないだろう」
そして、ご覧の通り柚子の両親(主に父親)から猛反対を受けているところです。
妊娠したことを告げてから、何を言っても"ダメ"の一点張りで話がなかなか進まない。
「まだ2人とも確かに未熟ですが、そんな子達が自らの意思で子供を産み育てたいと言う気持ちに少しは耳を傾けようとは思いませんか?」
柚子の父親に、柚子は睨みつけたまま言葉を発さず
俺もお願いします以外の言葉を言えない代わりに
情けなくも父さんがそう、説得してくれている。
「傾ける必要は無い。
産むことも育てることも許さん」
「ですが産まれてくるひとつの命を殺すことになるのですよ?
柚子さんの身体も精神的にも辛いと思います」
「ならばそもそも出来るようなことをしなければいいだけの話だろう!
医者と言ったか貴方は。どうしてそんな教育を息子にできていないのですか」
「その点に関して返す言葉もありません。
ですが、だからこそきちんと責任を果たして柚子さんと子供を幸せにしたいと願う気持ちは信じようと思っています」
「子供なんだから出来るわけないだろう!
そもそも幸せにするプランはあるのか」
父さんと柚子の父さんの口論に
俺も柚子も口を挟めずただ見守るしかないのがもどかしい。
ただ、自分のせいで父さんが責められるのが辛い。
自分を責めるのは全然いいが、その矛先が父さんに向かう限りきっと俺はまだまだ1人前になれていないんだろうな。