歌い手、なりませんか?
I学園ーーーそれは、世界の真ん中にある世界で一番の広さを誇る学園である。そこに通う生徒たちの国籍は様々で、学園内では様々な言語が飛び交っている。

これは、そんなI学園に通う一人の日本人の女の子の物語である。



I学園の屋上で、日本人にしては明るい色のミディアムの髪を揺らしながら音村奏葉(おとむらかなは)は友達のクララ・イザークと話をしていた。クララは音楽で有名なオーストリア出身だ。

「クララ、もうすぐピアノのコンクールなんでしょ?」

「ええ。念願だったラ・カンパネラを弾けるんです!」

奏葉はピアノなどの楽器は弾けない。しかし、音楽の話をしているとふと口から思いがあふれていく。


全然つかめない君のこと
全然知らない内に
心奪われるなんて事
あるはずないでしょ


奏葉が歌ったのは、ボカロのメランコリックだ。奏葉はボカロが好きで、クララの前で歌ったりする。

「奏葉、相変わらず素敵な声ですね!私と一緒に歌い手をしませんか?」
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