はやく俺のモノになればいいのに
差し出された手をそっと握ると、優しく握り返された。


その瞬間


ああ、私はユキさんのことがすごくすごく好きなんだなって気持ちが溢れてくる。


幸せって、こういうことなんだって。


これが、恋なんだと思い知った。


「モモの手。ちっちゃいよね」
「ユキさんは大きいですね」
「最初に握ったとき。なんて小さいんだろうって、驚いた」


あなたといると

途端に、日常が、キラキラと輝き出す。


「モモのぬくもりは。心地いい」


このときの私は

その言葉にどんな意味が込められていたか


気づきもせずに


「いつか――なんて言わないで」
「え?」
「この埋め合わせは。ちゃんとするから」


この先に、どんな未来が待ち構えているかなんて――考えもしなかったんだ。
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