スイセン
羽椛は、心に病気を抱えている。

きっとそれは幼い頃から長年蓄積されてきたものだろう。

元々はお互い一人暮らしだったけど、彼女が休職したことがきっかけで同棲することになった。

(…羽椛には笑っていてほしい)

「んーん。これからは毎日、寝る時も一緒だからね」

背中に感じる彼女の小さな姿に、微笑みながら語りかけた。

「……嬉しい!」

何かを言いかけたんだろう。
しばらくの間が空いて、元気な声が聞こえてきた。

こういう時、俺はどう対応したらいいのか分からない。

「羽椛ちゃん。息抜きにコーヒーでも一緒に買いいこ?」

カーテンを付け終えた俺は、振り返って彼女の頭を撫でた。

また彼女は、ニコッと笑った。
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