鳴り響け、復活のソナタ


「あ、ごめん。
全部お断りします。」


「「「「「「え~!?
なんで!!?」」」」」



小学生としての日々を過ごした6年間。
何度俺はこのセリフを言っただろうか。


どうして人は、
見た目で判断してしまうのだろうか。


お願いしたわけでもないのに、

本名の“藤原タケシ”ではなく、
【ゴリ】とみんな呼んでくる。


一言も発していないのに、
スポーツ万能として認知してくる。


断りを入れたのに、みんな俺を無理矢理そのステージへ連れて行く。






「ただいま。」


「お帰りタケシ。遅かったね?」


「うん。野球してきた。
でも1回打っただけで帰ってきた。」


「あ、電気屋さん来て直してくれたよ。
後で1回触ってみなさい。」


「ホント?じゃあすぐに・・。」




みんな、自分達の趣味は俺へ押しつけてくるくせに、

俺の趣味についてはバカにしてくる。

“似合ってない”、“勿体ない”
“何やっちゃってんの”


近所の電気屋さんが直してくれたワープロを立ち上げて、

新しいフロッピーディスクを入れて、
溜まっていた日記を再開する。



同級生の誰と何をしていても、

ワープロの前に座る時間の居心地の良さには敵わなかった。


















< 12 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop