婚約者は野獣




「ま、あくまでも許婚
結婚した訳じゃないなら奪っても良いんじゃね?」


「・・・・・・・・・そうか」


そうだよな?なにも結婚した訳じゃねぇもんな?


俄然やる気が出てきた俺に
視線を合わせてきた大和の顔にムカついて


「テメェ」


低く唸ると


「あら〜良いのかな〜
これから大分俺に世話になるはずだけど〜」


したり顔の大和に


「・・・・・・・・・チッ」


図星過ぎて舌打ちしか返せなかった


「しかし、遥華さんと未来《みく》さん
攻めて来すぎだよな?」


今度は渋い顔になった大和に
同じ顔を向ける

一つ上の姉貴“遥華”とその三つ上に“未来”

無遠慮な姉貴が二人も居る所為で
俺の女に対する感覚が狂ってしまったと言っても過言ではない


「永遠〜〜どうする〜〜?
六つも上だぜ?相手にされんのか?」


「あぁ、問題ねぇ」


「いやいや、六つ差って大きいぞ?
小学校でも被ってねぇじゃん?」


「だからどうした」


「お〜〜なんか益々面白くなりそ」


「茶化すな大和、邪魔するなら
お前でも容赦しねぇぞ」


「邪魔なんてする訳ないじゃん」


浮き足立った様子の大和を睨んでみたものの

こんな風になった大和は
脅したって変わらない

フゥとため息を吐き出して


「話、終わりか?」


部屋に戻りたい空気を出せば


「あ〜、もう行って良いよ
千色ちゃん送ったら倉庫ね?」


「あぁ、そのまま行く」


「じゃ、後で」


ヒラヒラと手を振って俺より先に部屋を出て行った大和を追うように

千色の待つ部屋へと足を向けた





side out









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