幻惑
「結花里。明日はどこかに行こうか?」

月曜の夜に、翼が言う。喜んで頷く私に

「結花里の仕事が終わる時間に、俺、迎えに行くよ。いつもより、少しはゆっくりできるでしょう。」

と言う翼。
 
「私、有休取るから。昼間から会いたい。」

と私は答えた。
 
「会社、大丈夫なの?」

と言って、翼は苦笑する。
 
「うん。有休、たくさんあるの。それより翼君、昼間から出かけて大丈夫?」

私は、少し不安になって、翼を見る。
 
「大丈夫だよ。」

翼は、そう言って私を抱き締める。
 
「嬉しい。翼君と、たくさん一緒に居られるね。」

翼の首に抱き付く私に
 
「少し、遠くに行こうね。そうすれば、一緒に歩いても大丈夫だから。」

と翼は言った。
 



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