白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

龍牙の想い

☆龍牙side☆

 今、俺は一人で
 十環の家の庭に敷かれた
 ブルーシートの上に座り、
 目の前にある
 大きな桜の木を見上げている。


 さっきまでここで
 十環の家族と桃と6人で
 ワイワイお花見をしていた。


 不思議な光景だった。


 この3年くらい
 十環の家族の行事には
 いつも呼ばれる。

 
 花見もそうだし
 バーベキューや花火大会
 クリスマスにも。


 そこに今日は桃がいて。


 おじさんもおばさんも
 俺だけじゃなく桃まで
 本当の子供みたいにかわいがっていて。

 
 そんな光景を見ていたら
 心のど真ん中に
 灯火がぽっとついたような
 あったかい気持ちになって、
 すっげー心地よかった。


 俺にとって十環の家は
 マジでかけがえのない場所。


 俺の弱さを見せられて。

 俺を温かく迎えてくれる。


 絶対に無くしたくなんかない場所。
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