白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
一颯と六花のケンカ

一颯のお願い

☆一颯side☆

「いっくん、お帰り~」


 夕方
 十環(とわ)の家から帰ると。

 キッチンに
 エプロン姿の六花(りっか)が。



 や~、もう!!


 相変わらず六花はかわいすぎる!!
 マジで可愛すぎる!!

 
 ボールに入った卵を
 シャカシャカかき混ぜながら
 俺に向けた満面の笑み。


 抱きしめずにはいられないじゃん!!



 俺はバックを床に置くと
 六花を後ろから抱きしめた。


「もう~、いっくん。
 夕ご飯のオムライス、作れないよ~」


 朝起きた時
 俺が家に帰ってきたときは
 六花にこうやって抱き着くのが
 習慣になっている。


 料理中に俺が抱き着くと
 六花はいつも
 ちょっと冷たい言葉を発するけど。


 うっすら頬が赤くなって。


 俺の腕の中で
 モジモジしはじめ。


 嬉しさを含んだ恥ずかしさを
 必死に隠すかのように、
 最後はいつも、こう言うんだ。



「いっくん。
 このままじゃ料理作れないでしょ。
 抱き着くのは、後で」

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