恋は呪いのように
プロローグ
「先輩のことが好きです、付き合ってください!」

やっぱりか……、そう思った。

放課後に手紙で呼び出されただけでもわかったが、場所が校内一の告白スポットである校舎裏なのだから、予感どころか、もう確信していた。
また告白されるのか、と。
正直、ここへ来る足はかなり重かった。来たくないと心が呻いていた。それこそ、すっぽかしてしまいたいと思ってしまうほどに。
だって答えは決まっているから……。

「ごめん」

そのたった一言を受け、目の前にいる、後輩らしい彼女の表情は一瞬で強張り、泣きそうになった。
彼女の今の表情が、僕への確かな感情を物語っている。
嘘じゃない。少なくても今の彼女にとっては偽りのない真実なのだろう。

だからこそ僕も気が重い。
僕も泣いてしまいたいと思うほどに。
すぐにでもどうにかしてあげたいと思うほどに。
けれど、残念ながらそれはできないのだ。

沈黙が、外から聞こえてくる活気に満ちた部活動の掛け声を際立たせる。
どれだけの時間が経ったか……などと言っても実際には数秒なのだろうが……目の前の彼女は無言で頭を下げ、この場を走り去ったのだった。

残された僕は大きな大きな大きな大きな──それほど大きな溜め息をついた。

──こうしてまた新たな呪いが一つ僕の心に刻まれた。
< 1 / 2 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop