桃の華〜溺愛イケメン社長〜
桃田さんは和菓子を買って、会社へと戻っていった。

いつもならお土産用に包装するんだけど、今日は包装もせずに買っていったけど、もしかして私に会うために来てくれたのかな?

そうだとしたら、更に嬉しいよ。

「もしかして、華ちゃんの彼氏って今の人?」

「え?」

桃田さんが帰っていった後、キムラ君にそう言われた。

「華ちゃん顔に出てるしすぐわかるよ」

また顔に出てたんだ。
私はいつまでたっても顔に出てしまうんだな。

「実はそうです」

「幸せそうな顔しちゃって」



バイトが終わりキムラ君とお店をでた。

「お疲れさまです」

「お疲れ、また明日ね」

キムラ君と挨拶を交わし別れて、辺りを見渡すと桃田さんが車から降りてきた。

「お待たせしました」

「今の、一二三さんのスタッフ?」

「あ、キムラ君です。昨日から新しく入ってきて、私がいろいろ教えてるんですけど。教えるのって難しいですよね」

私なんかが教えるって不安だけど、でも引き受けたからには精一杯頑張ろうと思う。

「へぇ、華ちゃんが教えてるんだ」

「私もまだまだなんですけどね」


桃田さんの車に乗り込み家の近くまで送ってもらった。

「送ってもらってありがとうございます。それと、桃田さんに会えて嬉しかったです」

「俺も嬉しいよ。テスト勉強の邪魔になると思ったから控えてたんだけど」

私も仕事の邪魔になるといけないと思っていた。
桃田さんも私と同じ気持ちだったのなら嬉しいな。

「ねぇ、華ちゃん。旅行いかない?」

旅行?桃田さんと2人で旅行?
行きたい!

「行きたいです」

まだお誘いを受けただけなのに、楽しみになっちゃったよ。

「じゃ、おばあさんに挨拶行って、旅行のお許しもいただくよ」

そうだった。夏休みに入ったらおばあちゃんに挨拶に来てくれるって言ってくれてたんだった。

おばあちゃん、認めてくれるといいけど。

でもおばあちゃんは優しいし、認めてくれるよね。

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