藍色の夜

「夜遅くにごめんね。ちょっと話したいことがあって...。」

薄い機械を隔てた向こう、彼の何処か眠たそうな吐息が耳を擽る。いや、実際擽ってなんていないのだけれど、それでも彼を近くに感じた胸は相も変わらずうるさくて。

なに、という気だるげな声さえ愛しい。

「今日は...デートしてくれて...ありがとでした。」

私の連絡はいつもお礼から始まる。

別に深い意味は無い。ただ私がお礼を言うくらいの用事がないと、電話もメールも、LINEさえできないヘタレだからだ。
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