【完結】その口止め料は高すぎますっ
エピローグ


「仕上げにリップ塗りまーす」
本日のヘアメイク兼新婦側親族でもある香帆ちゃんがはずんだ声をあげる。

「ようやく仕上げか〜、着付けからここまで長かった」
ふう、と一息つく。

「いやいや花乃、今日はこれからが本番なんだから。でも今回は使うリップが決まってたから、メイクのイメージがしやすくて助かったよ」
言いながら香帆ちゃんが筆にとっているのは、直斗さんがプロポーズのときに贈ってくれたリップだ。
丁寧にわたしのくちびるに乗せていく。

「うーん、いい色。ほんとに綺麗だよ、花乃」
香帆ちゃんが手をとめて、満足そうにうなずく。

「ありがとう」
自然と笑みがあふれてくる。

幸せだ。早く会いたいと思う。お父さん、お母さん、親戚や友達のみんな、そして———

コンコン、と扉をノックする音。
「入っていい?」

王子様がお待ちかねだよ、と香帆ちゃんが笑う。

「どうぞ」
わたしの声もはずんでいる。

扉を開けて直斗さんが姿を見せる。今日、わたしたちは家族になる。


【完】
< 125 / 125 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:212

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

忘れな草の令嬢と、次期侯爵の甘い罠

総文字数/12,499

恋愛(純愛)29ページ

第1回ベリーズ文庫デビュー応援コンテストエントリー中
表紙を見る
極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
  • 書籍化作品
[原題]エリート幼なじみは束縛魔です

総文字数/93,163

恋愛(オフィスラブ)205ページ

表紙を見る
室長はなにをする人ぞ

総文字数/23,469

恋愛(オフィスラブ)54ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop