幼なじみの彼とわたし
玄関で見送ったあと、へなへなとフローリングに座り込んでしまった。


「なんなの、もう…」

一緒に帰ってごはん食べて泊まるって。

付き合ってるみたいじゃない。
遥ちゃんの傍にいられるのはうれしいしチャンスなんだろうけど、遥ちゃんの気持ちは別の人に向いてるんだよ?


「恋愛相談とかされるのかなぁ」

そう呟いたあと、乾いた笑いが出てくる。
わたしに恋愛経験なんてないじゃない。
相談されてもじゅうぶんな回答なんてできない。


「されないか」


遥ちゃんの気持ちがわたしに向いていたら泣くほど嬉しいのに。
今は泣きたいほど複雑な気持ちだ。

割りきるしかないのかな。


それからは、残業や会議などでどちらかが遅くならない限り一緒に帰るようになった。
一緒に帰れない日は今まで通りひとりで帰っているが今日はそのひとりで帰る日だ。


「変質者なんていないじゃない」


今までは何ともなかった帰り道なのに、ふたりで帰ることに慣れてしまうと、ひとりがとても寂しくかんじる。
遥ちゃんのせいだから!とブツブツ言いながら帰る。


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