幼なじみの彼とわたし

side 遥平

千尋と飲み会に行くと言っていた亜衣。
仕方ないから家でのんびりしていると、千尋からLINEがきた。


『亜衣紗のお迎えに来て』
『場所は轟。10時に解散予定』
『わたしは彼氏と帰るから』


千尋には亜衣のことでいろいろ世話になってるし、千尋のおかげで亜衣が今フリーなわけで。
頭が上がらない存在ではあるんだけど、相変わらずそっけないなと思う。


10時に間に合うように車で向かう。
轟の前の電柱にもたれているとすぐ三人は出てきた。
そこには、千尋の新しい彼氏という男も一緒だ。


亜衣と千尋が何かしゃべっている間にその男が話しかけてきた。


「森田です。守本の大学の同期で、最近千尋とつきあうことになりまして」

森田って、あの森田?
二次会で亜衣に連絡先聞いた、あの森田だよな?
なんで千尋と?


「あ、西本です。守本の結婚式にいましたよね?それより、何で千尋と…?」

「1ヶ月ほど前、亜衣紗ちゃんと千尋が飲んでいるところに出くわしまして。そこから失恋仲間ということで意気投合して」

「失恋仲間?」

「あぁ、千尋、長年つきあっていた彼氏と別れたところで…」

「あぁ」

そういえばそう言ってたな。


「亜衣紗ちゃんにも好きな人がいるみたいでね」

彼はそう言うと、意味深な笑顔になった。
そういえば、告白する前にフラれたって言ってたか。
それにしてもこの笑顔の意味は?
まぁいいか。


亜衣と車で帰る。


「遥ちゃん、あがっていくでしょ?」

亜衣のアパートには駐車場がない。
一緒にいられるなら、もう少し一緒にいたい。


「車おいてからまた行ってもいい?」
< 149 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop