幼なじみの彼とわたし

side 遥平

クリスマスは俺にとって賭けみたいなものだった。


亜衣に料理のサプライズしたい、でもそのために練習していることは隠したい。
亜衣はさくらのことはわかってくれたけど、会う時間が減ったことを疑っているみたいだ。


クリスマスイブの午後は料理を作るために、午後半休をとることは前から決めていた。
もちろん、冷やかされるわブーイングだわで大変だったけど。


当日。

佐原くんから『高森さん今会社出て、西本さんの家に向かいました!』と連絡がきた。

年末の忙しい時期にほぼ定時で帰れるなんてすごいな。
亜衣が到着する時間を逆算して最後の仕上げにとりかかる。


ピンポンがなる。


「鍵空いてるから入って」


部屋に入るなり亜衣の声が響く。


「どうしたの、これ!!」


目の前のテーブルの上の手料理を見てのことだろう。
このリアクションが見れただけでも俺の中では成功だ。


「亜衣、メリークリスマス。俺が作ったんだ。一緒に食べてくれる?」


亜衣はフリーズしたまま何も喋らない。
一転して、サプライズ失敗?


「…ダメかな?まだ怒ってる?」

「遥ちゃん、料理、全然…」


料理できないのに料理が並んでることにびっくりしているようだ。


「付き合って初めてのクリスマスだろ?今までも一緒に過ごしていたとはいえ、やっぱり特別なことしたくて。いつも俺に料理を作ってくれてる亜衣に、今日は俺が作りたいって思ったんだ」


その言葉を聞いて少しは納得してくれたみたいだけど、まだ半信半疑か。
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